胆道・膵臓
診療内容
胆管・胆嚢・膵臓の疾患に対し専門性の高い検査・治療を中心に診療を行っております。主な対象疾患としては膵臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膵神経内分泌腫瘍、膵嚢胞性腫瘍、十二指腸乳頭部腫瘍、急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、閉塞性黄疸、胆管結石、急性胆管炎、胆嚢炎などがあります。
検診の腹部超音波検査で膵の嚢胞や膵管拡張で紹介していただく方が増えており、特に膵癌の早期発見を目指して、ハイリスク症例である嚢胞性腫瘍(膵管内乳頭粘液性腫瘍:IPMN)の経過観察や精査、膵管狭窄・拡張の精査を積極的に行っております。山梨県内ではまだ行っている施設が少ない超音波内視鏡下吸引穿刺細胞診(EUS-FNA)を用いて膵腫瘍の病理学的診断も行っております。
また限られた病床数でできるだけ山梨県内の胆膵領域の専門的な精査・治療を要する方を受け入れるため、急性期治療後の患者さんや化学療法治療などは、ご紹介いただいた施設や関連施設など主に県内の病院と連携して診療を行っております。
皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
2020年の胆膵領域入院患者の内訳
胆膵領域 入院患者総数 434例
主な膵疾患
膵がん | 149例 |
膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC) | 9例 |
粘液性嚢胞性腺癌(MCC) | 1例 |
膵神経内分泌腫瘍 | 13例 |
膵嚢胞性腫瘍(IPMN、SCNなど) | 8例 |
急性膵炎 | 15例 |
慢性膵炎 | 15例 |
自己免疫性膵炎 | 13例 |
主な胆道疾患
胆管がん | 49例 |
急性胆嚢炎 | 18例 |
急性胆管炎 | 53例 |
胆管結石 | 78例 |
乳頭部腫瘍 | 4例 |
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)
胆管と膵管の出口(十二指腸乳頭)は胃の奥の十二指腸にありここから胆汁と膵液が腸管の中に分泌されています。膵がん、胆管がんそのほとんどが膵管・胆管から発生しており病理学的診断のためにも、腫瘍により閉塞した場合の解除のためにも内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)は胆管や膵管に直接アプローチできる重要な検査です。また胆管炎の時にチューブをいれて感染胆汁を排出させる治療や胆管結石治療もERCPで行っています。
超音波内視鏡(EUS)
超音波内視鏡(EUS: Endoscopic Ultrasonography)は、胃カメラの先端に搭載された超音波装置(エコー)で、消化管の内腔から周囲組織・臓器などの診断をおこなう検査です。この検査は通常の胃カメラと同様に口から挿入します。EUSは体表からのエコー検査と異なり、胃や腸の中の空気や腹壁、腹腔内の脂肪、骨がエコーの妨げになることがなく、目的の病変(特に膵臓や胆道)の近くから観察が行えるため、より詳細に病変の情報を得ることができます。よって通常の画像検査では診断することのできない膵臓・胆道(胆嚢・胆管)の早期癌などの小さな病気を発見するのに有用な検査です。また従来、画像診断(超音波、CT、MRI等)だけでは確定診断が困難であった病変に対し、超音波内視鏡を用いて病変の一部を採取すること(超音波内視鏡ガイド下穿刺:EUS-FNA:Endoscopic Ultrasound guided Fine Needle Aspiration)もできるため、質的診断が可能となります。EUS-FNAの方法としては、膵臓や胆嚢・胆道の病変に限らず、腹腔内腫瘍・リンパ節や腹水、縦隔内の病変に対し、食道、胃、十二指腸などから超音波内視鏡で病変を観察し、介在する血管などがないことを確認して、穿刺針にて穿刺し、検体を採取します。
検査・処置実績(2019年度)
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)関連
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP) 総数 | 382例 |
ステント留置術 | 191例 |
プラスチックステント | 160例 |
金属ステント | 31例 |
内視鏡的胆管結石除去術 | 76例 |
胆道鏡(POCS) | 17例 |
ダブルバルーン内視鏡(DBEE-ERCP) | 32例 |
その他(造影などの精密検査) | 83例 |
超音波内視鏡(EUS)関連
超音波内視鏡検査(EUS) 総数 | 460例 |
EUSガイド下穿刺吸引細胞診 (EUS-FNA) | 70例 |
Intervention-EUS | 3例 |
経消化管嚢胞ドレナージ | 1例 |
EUS-CDS | 2例 |